自由英作文対策

答案の書き方

自由英作文は、すでに見たように <論説・評論型>、 <要約型>、 <説明・物語型> に大別できるが、それぞれに書き方の一定の形式があるのだろうか。<要約型>、 <説明・物語型> の場合には、問題の内容に応じて当然書き方も変わってくるだろう。

しかし、<論説・評論型> の場合には、一般に一定の形式に従うのがよいとされている。それは、アメリカの大学がレポートやエッセイを書く場には一定の形式に従うことを要求しており、その影響があるものと考えられる。それに何よりも、一定の形式に従ったほうが、読み手に内容が明確に伝わることが多いのである。だから、日本でも <論説・評論型> の英文を書くときは、それに従ったほうが得策だろう。

もちろん、日本の大学が入学試験で提出する自由英作文は受験生の英語力を見るところに目的があって、書かれている内容に重点を置いているアメリカの大学のレポートやエッセイとは目的がやや異なるから、一定の形式に従うと言っても、それほど厳密に考える必要はない。

一応参考のために、先にあげた一橋大学の解答例で書き方を確認しておこう。

Write at least 100 words of English about the following topic.

People live longer now, so the retirement age should be raised to 70.

(2002年 一橋大)

解答例

[Introduction →]  I don’t agree with this opinion.
[Body → ]  It is true that people today live longer than before, but it does not necessarily mean that they have to work until they become very old. I think many people would agree that work is a kind of necessary evil. So if you have enough to lead a decent life, it would be better to stop working and enjoy your life. However, there may be some who want to work as long as possible, and in this way, to be useful to their society.
[Conclusion →]  How to spend one’s old age varies form person to person. If so, the normal retirement age should not be uniformly raised to 70. There should be many options to choose from.

Introduction は「序論」に該当する部分で、全体の内容を軽く紹介するところである。

特に、賛否を求められている問題の場合には、ここで賛否を明らかにしたほうがよい。いつまでも賛否を明らかにしていないと、読んでいる者にとっては何を言おうとしているのかわからず、いらいらしてくることが多い。

Body は他説を論破して、自説が正しいことを論述するところだ。この場合よく利用されるのが、It is true that … But [However]…やSome people say that … But ….といった「譲歩」の形式である。もちろん、必ずしもこれに従う必要はないが、この形式を利用したほうが答案作成の時間を大幅に短縮することができるだろう。

Body の中身で特に注意しておきたいのは、他説を論破する場合や何かについて一般化する場合には、その根拠・理由は可能なかぎり客観的で公正なものでなければならないということだ。具体的に根拠・理由になりうるものをあげてみる。

  • 事実
  • 実験
  • 観察
  • 調査などの結果
  • 専門家の言説
  • 多くの人の共通認識
  • 過去の知識
  • 経験
  • 歴史上の真実
  • 教訓
  • 書籍・雑誌からの引用
  • 個人的知識
  • 体験

これらの項目を見ると、客観性が非常に強いもの(例えば「事実」)から弱いもの(例えば「個人的知識・体験」)まである。厳密な論文では、「個人的知識・体験」では自分の主張を裏付けるには不十分であろう。なぜなら、科学論文のような厳密な論文では「予測をしないこと(don’t speculate)」が論文を書くときの基本ルールの1つになっているから、「個人的知識・体験」から一般的真理を導き出すことはできないからだ。

しかし、大学入試に出題される自由英作文は必ずしも科学的なものばかりではない。「妥当な」予測・推論が許容される場合もかなりあるだろう。要は、出題内容をよく検討して、求められている客観性の度合いを判定する必要があるということである。

ちなみに、上の解答例で私は「高齢まで働き続けることはよくない」として、I think many people would agree that work is a kind of necessary evil. と書いているが、これは「多くの人の共通認識」をその論拠としている。

もちろん、この点について人々の意識をたずねた調査結果があって、それが引用できるならベストだが、実際の試験ではそのようなことは不可能である。また、英語圏では聖書の記述から労働は必要悪という一般的認識があるから、上のような推論的な書き方でも十分に許される範囲であろう。

Conclusion は、論証をへた全体の結論を簡潔にまとめる部分である。私がいままで添削してきた経験から言うと、受験生はこの部分の書き方がうまくいかないことが多い。Introduction と同じ表現を繰り返したり、ひどい場合は Introduction で示した暫定的な結論と反対の結論になっていることもある。

最後の部分は採点する先生に強い印象を与えるから、簡潔で気の利いた終わり方になるように訓練する必要があるだろう。

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中澤幸夫プロフィール

中澤幸夫

中澤 幸夫

ナカザワ ユキオ

1944年東京生まれ。一橋大学・経済学部卒業。


毎日新聞社を経て、現在は翻訳家・著述家・予備校講師。一橋学院にて長年にわたり英語講師をつとめる。大学入試英語のための参考書を多数執筆。『話題別英単語リンガメタリカ改訂版』(Z会出版)、『英文解釈のトレーニング必修編』(Z会出版)、『速読英文読解 高校上級用』(日栄社)など著書多数

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